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金利と利回りの違い
金利とは、債券を持っていることで定期的にもらえる金額を年率で表現したものです。
例えば、金利(利率)が1%付いている1万円の国債を1年間持っていると、100円(1万円の1%)をもらえる、という感じです。
実際は、年2回半年ごとに0.5%ずつもらったり、四半期ごとに0.25%ずつもらったりしますが、年間でトータル何%もらえるのかを表記するのがマナーになっています。
一方、利回りとは、その債券を償還まで保有し続けた時に、年間平均何%のリターンが得られるのかを表現したものです。
要するに、利回りとは期待リターンのことです。
利回りの方が重要
この2つは似ているようで全然違いますが、投資のうえでは金利よりも利回りの方が圧倒的に重要です。
利回りと金利の違いは、金利が必ずしもリターンを意味しないことです。もし額面1万円で金利5%の債券を1万円で買うことができれば、5%の金利=5%の利回りとなりますが、普通は1万円ピッタリで買うことはできず、10100円とか9900円とかで買うことになります。
仮に10100円で買ったとしましょう。
そうすると、毎年500円(5%)がもらえるわけですが、この債券が償還した時に返ってくる金額は額面の1万円になります。
1万100円を払って買い、金利500円をもらい、1万円の額面が返ってくると、500+10000-10100で、最終的にもらえた金額は400円(購入代1万100円の3.96%)と、金利よりも低いリターンになります。
逆に、9900円で買えば、金利500円、額面1万円で、600円(9900円の6.06%)になります。
債券については、途中でデフォルトしないなら、高い値段で買えばリターンが下がり、低い価格で買えばリターンが高くなります。
この「結局のところいくらもらえるの?」というのが利回りになります。
買う時点で利回りが何%かが分かれば、リターンがほぼ確定しますので、いつにいくら使いたいという資金使途がハッキリしている場合、債券は結構使いやすい資産クラスです。
毎年いくらの分配が欲しいというニーズがある場合には金利も気にする必要がありますが、いつまでにいくら用意したいとか、長期投資を考えている場合は、利回りだけ見ておけば十分でしょう。
金利と利回りは混同して使われる
注意したいのは、メディアや記事などで金利金利と言っているのは、だいたい利回りのことを指していることです。
金融に詳しくない人に対してメッセージを出す場合は、面倒なので利回りのことを金利と言うことも多いですから注意してください。
金利と利回りはどうやって決まる?
金利は発行体(債券を出して資金を集めたい国や企業)が決定するもので、利回りは市場で決定されるものです。
もう少し具体的には、市場には①中央銀行、②発行体、③投資家(市場)の3種類のプレイヤーがいて、この3者がワチャワチャすることで利回りが決定します。
金利と利回りがややこしいかもですので、利回りを”期待リターン”と読み替えても問題ありません。
まず、①中央銀行が市場の利回りの最低水準を決定します。
よくあるケースが、①中央銀行が、民間銀行間で1晩だけ融資が行われた場合の利回りを定めます。
銀行は国の保護が手厚く潰れにくい企業であり、しかも借金の期間が1晩だけなので、この借金は市場で最も安全な借金になりますから、借金の見返りである利回りも市場で最も低い水準になります。
①中央銀行が定めた1晩だけの利回りを参考に、②発行体(ここでは国としておきましょう)は10年とか20年とか長期債券の金利を決めて発行・販売します。
長期になりますと、国とはいえ破たんする可能性もゼロではありませんし、それ相応のリスクを伴うので、1晩だけの融資よりも高い金利を提示しないと誰も買ってくれません。
仮に、①中央銀行の定めた金利が0%、②発行体が発行した額面1万円の債券(簡単のため満期1年とします)の金利が1%だとしましょう。
③投資家(市場)は様々な情報から「これだけの利回りはほしい」という水準を持っており、この金利だと債券の価格はいくらが適当かと判断します。
③投資家(市場)が「あの国はちょっと先行きが危ないのに、金利の1%だけじゃリターンが足りないよね」と思っていたら、③投資家は当然1万円では買いたいと思いません。利回りが低すぎます。
1万円で売れないことが分かれば、②発行体はどうにか債券を売って資金調達しないと大変なことになりますので、③投資家(市場)が買ってくれる水準まで価格を引き下げます。
こうして②発行体と③投資家(市場)の交渉が繰り返され、利回りの落としどころが決定します。
②発行体が販売し終えた後は、市場にいる投資家同士の間で、利回り水準をもとに債券が取引されるようになります。
市場には様々な利回りを望む投資家が無数にいることで妥当な利回り水準が決定されますので、市場に投資家が少ない状況(金融危機とか)では一時的に利回りの妥当性が乱れることもありますが、中長期的には妥当になると考えられています。
(というか、コレを妥当とするという前提が無いと色々な資産価格の判断ができませんので、暗黙の了解でこれを妥当とするのです)
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